2009年 10月 08日
朝一番にバイヨンの見学を終えた僕は、続いて象のテラスを歩き、そのまま王宮の中へ入っていった。 王宮そのものが木造建築だったため、敷地の中はピラミッド型の小さなヒンドゥー寺院と沐浴池を残すのみとなってしまったが、沐浴池には素晴らしいレリーフがあるし、さらにはピミアナカス(天上の宮殿)と呼ばれる小さなヒンドゥー寺院の王にまつわる伝説も残されていた。 その伝説によれば、寺院の塔の中心には9つの頭を持つ蛇が住んでいて、その蛇が毎晩美女の姿で王の前に現れると、王は妻と寝る前に必ず彼女と交わらなければならなかった。というのも、その行為を一晩でも怠った場合、王は死んでしまうと信じられていたからだ。 ところが、そもそもこの寺院を王宮だと勘違いしていた僕は、のんきにしかも王様気分で寺院の急な階段を上っていたのだが、最上段に着いたところで、突然、中から青いドレス姿の美女が現れ、微笑みながら僕の傍を通り過ぎるのを見て、思わず見とれてしまったのだった。 地上に降りると、今度は先ほどの美女が池の傍にある遺跡の残骸に腰掛け、熱心にロンリープラネットを読んでいる。 印象派絵画を代表するモネの作品のように、淡い光を背景に落としたその光景は、ただそこに立ちつくすことしか出来ないほど幻想的だった。そして、このときはもう池を縁取るレリーフのことなど、すっかり忘れていたのである。 Canon IXY DIGITAL 200 1/160 sec. F 7.1 5.4mm
by artisfoto
| 2009-10-08 21:05
| カンボジア
|
Comments(4)
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padmamanis at 2009-10-09 17:30
あ!本当に美女が登場していますね!
しかしこちらも風景写真ですよねー!川に映った緑が特に素敵!
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artisfoto at 2009-10-09 18:47
padmamanisさん、やっぱり? じつはひそかに突っ込まれるんじゃないかと思ってました。(汗)
しかし、こんな美女が一人旅とはね。第二外国語はフランス語にしとくんだった。
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artisfoto at 2009-10-11 10:12
cumi-cumiさん、そうです、このときはだいたい10時頃ですかね。
それと、王宮の外、いわゆる壁の向こうは森になっていて、なかなか雰囲気がありました。 |
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