2011年 06月 08日
カサ・デ・ラ・トローバにて、サンティアゴ・デ・クーバ
カサ・デ・ラ・トローバの前で、僕はある男の言葉を思い出していた。
その深い目をしたドレッドヘアの男は、夕方になるとカマグエイ中心部のバーの前に現れ、僕らはそこでよく立ち話をしていたのだが、あるときその彼が、僕に向かってこう言い放ったのである。
「何でいつも写真ばかり撮ってるんだよ。他にもっと楽しいことがあるだろ? 酒とか音楽とか踊りとかさ。」
確かに、彼の言うとおりだった。
いつもなら、もっと旅そのものを楽しんでいただろう。
しかし、その時はまだ震災のショックで、どうしても心から楽しもうという気にはならなかったのである。

その4日後、僕はサンティアゴのカサ・デ・ラ・トローバで、出口近くの椅子に腰掛けながらTrio Eroshaiの演奏に耳を傾けていた。
確か3曲目だったと思うが、ラテン音楽特有の切なく美しい、しっとりとした演奏が始まると、突然僕の目から涙が溢れ出し、止まらなくなってしまった。
おそらく、それまで抱えていた感情が、このとき一気に吹き出したのかも知れない。
震災から11日後のことであった。

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Canon EOS 5D Mark II EF50mm F1.2L USM
1/100 sec. F 2.8 ISO 800
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by artisfoto | 2011-06-08 18:50 | キューバ | Trackback | Comments(0)
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