2013年 05月 02日
ブーゲンビリアとホアマイ、ロンスエン
市場の散策を終えて部屋に戻ると、突然部屋が真っ暗になった。
どうやら停電らしい。
外に面していない僕の部屋は、昼夜に関わらず廊下の灯りと部屋の電気だけが頼りだったのだ。
やがて掃除の女性がやって来て、外窓のある部屋で待つよう言われたが、どっちにしても電気が無いのは同じこと。
仕方がないので、また外出することにする。

運河沿いを歩いて行くと、土手の上には盆栽の鉢がずらりと並んでいた。
ほとんどがホアマイの樹だ。
ホアマイとは、ベトナム語で『梅の花』を意味するが、熱帯のべトナムでは梅の樹など育つはずがなく、代わりにオクナの黄色い花がホアマイと呼ばれるようになった。
学名はオクナ・インテゲリマ、タイではチャーン・ナーオと言う。
べトナム南部では、テト(旧正月)に欠かせない飾り花として、この時期とくに需要が高まるのだ。

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次に、向かいの金魚屋を覗いてみたのだが、そこで僕は思わず声をあげそうになってしまった。
何しろものすごい数の水槽が、店の奥までびっしり並んでいて、その数はゆうに100を超えていたのだ。
水槽の中には金魚だけでなく、多種多様な観賞魚が悠然と泳いでいて、もしかしたら東京の熱帯魚店よりも凄いのではないだろうか。
とりわけベタ(闘魚)は、このあたりが原産とあって、種類や数だけでなく美しさもダントツで、とにかく眺めているだけで楽しかった。

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ホテルに戻る途中、路上で黙々とミシン仕事をするひとりの女性を見掛ける。
僕はその時、パンツのボタンがとれかかっていたのを思い出し、女性のところへ持って行こうと思い付いた。
幼い女の子が傍で座っているのを見て、少しでも生活の足しになればと考えたからだ。
早速部屋に戻り、パンツを持って行くと、僕の顔をちらりと見ただけで、あっという間に仕上げてしまった。
パンツと引き換えに代金を払おうとしたところ、要らないと言う。
僕はきっぱりとしたその態度に誇りのようなものを感じて、「カム・オン(ありがとう)。」と、ひとこと礼を言い立ち去ることにした。

世の中には「歴史に名を残したい。」と言う人が大勢居るが、名を残したところでいったい何になろう。
この女性のように、名も知れず人の心に残る人間になる方が遥かに尊いことなのではあるまいか。
僕は自問自答しながら思うのだった。
これこそが、旅の醍醐味なのだと。

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by artisfoto | 2013-05-02 17:51 | ベトナム | Trackback | Comments(2)
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Commented by まねきねこ at 2013-05-02 18:37 x
歴史に名を残すより、名も知れず人の心に残る人間になる方が
尊い。・・・同感です。 
素敵なお写真に触発され、明日から私もベトナムへ行って来ます♪
Commented by artisfoto at 2013-05-02 18:48
そうでしたか、美味しい料理とともにべトナムを満喫してきて下さいね。
Bon Voyage!


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